A MYSTERIOUS CROW
ふしぎなカラス
ある朝、村の長・源兵衛さんがお社のまわりを掃除していると、森の奥から「カァ、カァ」と大きな声が聞こえました。見に行くと、そこには足が三本ある、とても大きなカラスがいました。
「これは、八咫烏かもしれない……」。源兵衛さんは、迷った人を正しい道へ案内する神さまのおつかいの話を思い出しました。
A TALE FROM DENPO
伝承をもとにした創作童話
川辺の小さな社から始まる、
三本足の鴉と人びとの物語。
PROLOGUE · はじめに
むかしむかし、大阪の伝法という川のそばに、小さな村がありました。魚をとり、船で荷を運ぶ人びとの暮らしを、小さなお社が静かに見守っていました。
このページは、元の「伝法の八咫烏ものがたり」の登場人物と六つの場面を生かし、鴉宮の由緒と区別できる形に再編集した創作童話です。
A MYSTERIOUS CROW
ある朝、村の長・源兵衛さんがお社のまわりを掃除していると、森の奥から「カァ、カァ」と大きな声が聞こえました。見に行くと、そこには足が三本ある、とても大きなカラスがいました。
「これは、八咫烏かもしれない……」。源兵衛さんは、迷った人を正しい道へ案内する神さまのおつかいの話を思い出しました。
HIDEYOSHI AND YATAGARASU
それから何年かたったある日、豊臣秀吉さまが、たくさんの船とともに伝法へやってきました。大きな海を渡る前に、船が無事に進むよう、お社で祈りました。
その夜、神主さんの夢に三本足の大きなカラスが現れます。「明日、海に出る人たちを、わたしが案内しましょう」。翌朝、八咫烏は船の先を飛び、進む道を示しました。船は波を越え、無事に目的地へ着いたのでした。
見えない道にも、進むべき方角はある。
八咫烏は、その先を静かに示しました。
THE NAME OF THE SHRINE
秀吉さまは伝法へ戻ると、八咫烏が船を守ったことを喜び、「これからは鴉宮と呼ぼう」と告げました。
こうして、お社は鴉宮と呼ばれ、八咫烏は村を見守る存在として大切にされるようになった――物語はそう伝えます。
WITH THE VILLAGERS
大雨で川があふれそうな夜も、村に病が広がったときも、人びとは八咫烏の声や夢のお告げに勇気づけられ、力を合わせました。
この場面は、困難のときに希望を失わず、互いに助け合うことの大切さを描いた創作です。作中の葉を煎じる描写は医療上の助言ではありません。
THE TOWN OF DENPO
村は少しずつ大きくなり、船や人が行き交う町になりました。船に乗る人びとは、出発の前に鴉宮へお参りし、無事の帰りや豊漁への願いを託しました。
八咫烏は、人びとの願いを神さまへ届ける、やさしい導きの鳥として語り継がれていきました。
THE STORY CONTINUES
時代が変わり、村が町になっても、鴉宮と八咫烏の物語は伝法で大切にされてきました。
ある日、元気をなくした女の子がお参りに来ると、一羽のカラスが目の前にとまり、やさしく首をかしげました。女の子は「だいじょうぶ」と背中を押された気がして、少し心が軽くなりました。
道に迷ったとき、そっと前を向かせてくれる。
八咫烏の物語は、今も人びとの心へ続いています。